早かったお別れ

　「朝に紅顔ありて夕べに白骨となる」を思い出したのは、長いお客様であり、島根県中小企業家同友会の代表を努められた㈱コダマサイエンスの小田社長の訃報の知らせを聞いたときです。その前日はいつも通り電話でお話をしていたので、「まさか」と思い、実感できませんでした。
　氏は平成7年から二代目として会社を継承され、約30年トップとして経営の舵取りをされ、その間に従業員は約5倍、売上も何倍にも伸ばされました。私は広告のお手伝いをする傍ら、いくつもの歴史観をお聞きしました。昭和22年生まれの団塊世代の氏は広島市ご出身であったことからか、平和の大切さを歴史や当時の状況から時の為政者の下した判断について語られました。松本清張の小説を数多く読まれ、戦後間もない頃の下山事件や帝銀事件を自らの推察も入れて話され、私もその本を読むきっかけをいただきました。戦争を知らない戦後の第一期生にあたり、モノの乏しかった幼少時の体験と沁みついた平和に対する強い思いがあったと推察します。
　世の中が右肩上がりの成長期、住宅メーカー在籍時には数々の成果をあげた“モーレツ社員”ぶりを話していただきました。そしてお付き合いが始まった今の職場ではどの業者にも分け隔てなく意見を聞かれ、話し合いを欠かさない姿勢に感心しました。広告予算をメリハリをつける合理的なことや、近年は新しいネット広告やITを活用したDXにも興味を持たれ、東京のネット系企業の提案に耳を傾むけられ、打合せに同席させていただいた私の意見も聞いていただけました。私だけではなく関わりのある方をとても大切にされておられました。
　会社のリーダーとして「夕飯は家族一緒にいただく」や「１年間売上が無くても持ちこたえる会社」をモットーに、社員を大切にする目標を掲げられましたので、高い定着率は実現されました。また団塊ジュニア世代やミレニアム世代に共通する「ライフワークバランス」を公言されて、自らの趣味も多彩で登山やスキー、モーターバイク、音楽に積極的にチャレンジされました。遠方で開催する野外コンサートにバイクで出掛けられ、国内・国外各地のスキー場を楽しまれるなど、訪れた地は離島を含めて国内では全県に足を運ばれています。
忙しい中でも仕事と趣味のONとOFFの切り替え上手で、時間を有効に使う天才でした。仕事と趣味を高いレベルで叶えた姿に尊敬を込めて「アニキ」と呼ぶにふさわしい方でした。「アニキ」に感謝し、早かったお別れが惜しまれます。（や）

地方企業が採用競争に勝つための新戦略（人材部門）

　都市部に比べて人材が不足している地方企業が、採用競争に勝つために新たな戦略を展開しています。地域の特性やニーズに合わせたアプローチが求められています。
　地方企業が採用競争で勝つために重要なのは、地域の魅力を活かした採用プロセスです。地方の美しい自然や暮らしやすい環境、そして地域固有の文化や伝統を積極的にアピールすることで、優秀な人材を惹きつけることができます。また、地域社会とのつながりを重視し、地元の人材を育成する取り組みも重要です。
　さらに、地方企業は働き方の柔軟性を提供することで、採用競争において優位に立つことができます。リモートワークやフレックスタイムなどの制度を導入することで、地方在住の人々や家族が働きやすい環境を提供し、人材の定着率を高めることが期待されます。
　また、地方企業は地域社会への貢献活動を通じて、地元の人々の支持を得ることが重要です。地域のイベントやコミュニティ活動への積極的な参加や、地元の教育機関との連携による人材育成プログラムなどが有効です。　地域に根ざした企業としての存在感を高めることで、地域社会からの信頼を得ることができます。
　地方企業が採用競争に勝つためには、地域の魅力を最大限に活かし、働き方の柔軟性を提供し、地域社会とのつながりを強化することが重要です。これらの取り組みを通じて、地方企業は優れた人材を確保し、競争力を高めることができます。（けん）